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アーユルヴェーダの木の下で

ハタイクリニック アーユルヴェーダスタッフのブログ

カロンジは凄腕ベーシスト



少し前の話になりますが、最強の消化促進剤ヒングアシュタカチュルナ作りを任された時のこと。
私は材料のカロンジの扱いに失敗してしまいました。
カロンジとは、きれいな花の咲く一年生植物のニゲラ・サティヴァの種のことで、インドではポピュラーなスパイスです。ヒングアシュタカチュルナにも含まれています。

ヒングアシュタカチュルナの作り方は、材料となるスパイスを火にかけ、香りがたったところで火からおろし、粗熱がとれたらハタイでは「ひきっ粉」という製粉機にかけてパウダーにしていき、最後にすべての材料を混ぜ合わせます。

先輩と一緒に作業した時にみて、嗅いで、五感をフル活用した記憶を呼び覚まして、さあ、私も再現!と思いきや、
肩の力が入りすぎた結果、カロンジを製粉機にかけすぎ..パウダーにしたかったカロンジは、ねっとりとした質感の代物に変わり果てていました。
「こんなになったのははじめてよ..」といった先輩の一言が胸にしみました。

無題

しかし!失敗してもただでは起きたくありません!
このカロンジ、無駄にはできないと、調べてみたところ、料理では、芋類の味を上手にひきだしてくれるそう。早速いつものジャガイモ料理に使ってみました。

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ギーをフライパンにひき、蓋をしてじっくり弱火で焼いたジャガイモに、いつもは岩塩とブラックペッパーだけで味付けしますが、ここにカロンジを加えました。


カロンジそのものの味は辛味と苦味、黒ごまのようなコクも感じたのですが、なんだか地味。
しかし、いつもの岩塩とブラックペッパーだけの味付けよりも、カロンジを加えたほうが、味になんともいえない深みとコクが出ました。あるインド料理の本には、あると味が違ってくるのでレシピに載っていたら必ず入れてください、とありましたが、確かに。
バンドマンに例えるならベーシスト。主役ではないけれど、あるとないとでは違う!いてほしい!
次にインド料理を食べるときに、カロンジの味を探してしまいそうです。

ちなみにこのカロンジ、「死以外のあらゆる病を癒す万能薬」と言われ、古代エジプトから重宝されていたようです。最近では、カロンジからとったオイル(ブラックシードオイル)が注目を集めていて、色々と研究されているようです。
その効果効能は、美肌・アンチエイジング、皮膚病予防、ガン予防・免疫力アップ、生活習慣病予防、喘息、..書ききれないほどありました。持っていない効果効能を調べる方が早いと言われるほどです。
その素晴らしさを表現した肩書を持ったスパイスは色々ありますが、またひとつ知ることができました。
積極的に食事に取り入れたくなったのでした。

話が冒頭に戻りますが、ヒングアシュタカチュルナを手作りする方がいらっしゃいましたら、カロンジの挽き過ぎにご注意ください。

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